戦争と農業(藤原辰史著)(インターナショナル新書)はぜひ読んでほしい一冊

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私が2017年に読んだ本で一番面白かったのは、「戦争と農業」です。「トラクターが戦車に、化学肥料が火薬に、毒ガスが農薬になった」という衝撃的な帯、さらに赤い本ですから、目を引きます。見掛け倒しの本も少なくないですが、この本はそうではありません。値段の数倍の価値はあります。この本の素晴らしいのは新規性(戦争と農業を結び付けたところ)だけではありません。参考文献に非常の多く触れているところです。内容に興味のある読者は自分で書籍を探すことなく、流れるように次から次へと関連書籍を探して読むことができるからです。この本は読者が読み進めて疑問に思うようなところで、参考文献に触れています。ほとんどの本は巻末に参考文献が掲載されていますが、いったいどの部分を参考にしたか明確ではありません。また、興味のある部分、疑問の残る部分に対して、関連書籍を探すことは容易なことではありませんが、この本はそれが容易にできます。私は貿易の仕事もしていますが、途上国への農機具の輸出も少なくありません。読後、もしかしたらあのトラクターは・・・と思うと複雑な心境になりました。