Native Language Magnetic Theory

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リスニングができない理由の一つとして、母国語(母語)の音に引き寄せられてしまう現象があります。Native Language Magnetic Theoryとは、聞いたことがない音でも、母国語に近い音があれば、無意識にその音として処理してしまう現象です。詳しくは動画で説明していますので、是非ご覧ください。 英語を聞き取れない、正しく発音できない原因を上記の動画で説明しています。 頭の中に丸、三角、四角があり、これが皆さんの頭の中にある音だと思ってください。  耳から新しい音が入ってきます。その音は頭の中にはない形の音です。この時、脳は、「違う音」と判断するのではなく、似ている音を同じ音だと判断してしまうのです。言い換えれば、母国語の近い音に磁石のように引き寄せられるのです。この理論をNative Language Magnetic Theoryと言います。 このプロセスは脳が勝手に行うもので、皆さんはほとんど意識することはありません。語弊があるかもしれませんが、癖のようなものです。 脳は非常に高度な処理を自動的に行います。例えば虹は七色ということになっていますが、実際に見えているのは色ではなく、光の波長の違いです。その違いに脳が勝手に色を塗っているのです。光線に色が付いているのではないのです。 異なった音を 同じ音だと認識してしまうと、発音する時に間違った音を出すことになります。発音が悪いというのは間違いなく母国語、既に頭の中に定着している音を使ってしまうからです。 では、正しい音を認識させる方法はあるのでしょうか? あります。唯一の方法は、異なる音を比較しながら認識させることです。 例えばLとRの音を、違いを認識させながら、繰り返しインプットすることです。そうすることによって、新しい音の形が頭の中に出来上がります。この時点で聞き分けはできるようになっているはずです。 では、正しい発音できるかと言うと、必ずしもそうではありません。 おそらく近い音は出せるようになるかと思います。 しかしながら発音は、喉や口の中の筋肉の動き、息の量、舌の位置、唇の形など様々な要素があり、完全に再現するためには少し時間がかかります。若ければ若いほど同じ音を正確に再現するまでの時間は短くなり、年をとればとるほど同じ音を正確に再現するまでの時間は長くなります。 それではパズルの形ではなく実際の英単語で考えてみましょうなるまず耳から という音が入ってきます。 頭の中には「フェスティバル」という音と「ファーストボール」という音があります。どちらの音に近いかというのは個人の認識によりますが、多くの人は「フェスティバル」に近いと音だと判断した結果、間違えてしまいます。 もう一つ例を挙げておきましょう。耳から という音が入ってきます。 「ベスティー」と聞こえたのではないかと思います。しかしながら頭の中にはこれに該当する単語はありません。 「ベスト」と「ティー」という単語がそれぞれ単独では入っていますが、続けて発音された時の音は入っていないのです。従って、このケースでは似ている音さえ見つけることができずにまったく聞き取れないということになります。 まとめると、「音の違いを脳に認識させながら覚える必要がある」ということです。ですから、フォニックスの学習としてひとつの音だけを学習しても、母国語に引き寄せられてしまうため、あまり意味はないのです。 似ている音を聴き比べながら学習していく必要があるのです。