人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか――-スペイン-サン・セバスチャンの奇跡(高城剛)

地方で支持されているお店が東京へ行くと魅力がなくなってしまう

地方には素晴らしい飲食店が多いように思います。都市部で展開しているチェーン店も元々は地方で人気が出た後に進出しているケースが多々あります。しかしながら、地方だけで経営しているときは魅力的であったにもかかわらず、東京進出後、減速してしまうケースが多々見受けられるような気がします。地方の人気店は絶対に東京進出をしないでほしいとさえ感じてしまいます。

静岡に炭焼きさわやかという人気のハンバーグ屋さんがあるといううわさを聞きつけ、行ってみたところ、行列ができていて3時間待ちと言われました。相当な人気が伺えます。私の中でハンバーグと言えばハングリータイガーなのですが、ハングリータイガーも割とローカルではあります。

静岡には五味八珍という餃子の王将に匹敵するお店があります。一度行ってみたのですが、恐ろしいボリュームでした。コスパ重視の方は絶対に納得できると断言できるほどのボリュームです。私はそんなに量が必要ないので、美味しいものを少量食べたいと思いますが、逆にそのようなお店はなかなか見つかりません。

日本では難しいようですが、海外にはそのような場所があります。スペインには美食家が集まる場所があるそうです。小さな町にもかかわらず、世界中からグルメが集まってくるのは驚きです。高城剛氏に対してワイドショーなどが報じたイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、面白い著書が多いのでぜひ読んでいただきたいと思います。特に「人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか――-スペイン-サン・セバスチャンの奇跡」は秀逸です。

私が応援しているシェイクシャックが日本に上陸してそこそこ時間が経ちました。日本人は飽きっぽいので流行りが終わればガラガラになります。クリスピークリームドーナッツのように。

アメリカのソウルフードとも言えるハンバーガーやドーナッツの競争は激化するばかりですから、短期で勝負するような銘柄ばかりのような気がします。マクドナルド(MCD)のように世界的知名度も高く、不祥事があっても長期に渡り投資対象となり得る銘柄はほとんどありません。連続増配で株主還元を積極的に行っている企業です。

外食産業に投資するのであれば堅いのはマクドナルドを置いて他にはありません。スターバックスにはブルーボトルをはじめ、ライバルが次から次へと現れます。タコベルも良いのですが、タコスは世界中の人の口に合うわけではありません。マクドナルドは世界中の人の口に合うように工夫しています。インドでは牛肉を使わず、パキスタンでは豚肉を使わず、世界中の人に支持されています。また、ビッグマック指数なる指標もあるほど、その地域の価格を調整しています。不祥事や悪い決算などで株価が急落したときにはぜひ拾いたい銘柄です。

注:私がお話ししているのはアメリカの本家本元のマクドナルド株です。日本のマクドナルドは私見ですが買わない方が良いでしょう。

さて、話は逸れてしまいましたが、こうしたファーストフードの流れとは逆行するようなスペインのサンセバスチャンの食を中心とした街づくりが紹介されているのが本書です。高城さんの本はなかなか面白いものが多いのですが、この作品は本当に面白いので、まちおこしに興味がある人、美食家に読んでほしい一冊です。