オルソケラトロジーとは?
オルソケラトロジーは特殊なコンタクトレンズを装着し、寝ている間に角膜に「型」を付けて矯正、起床後、その特殊なコンタクトレンズを外しても視力が持続する視力矯正方法です。あくまでも型をつけるだけですから、畳の上でうつ伏せに昼寝をして頬に畳の網目が付くのと同様、少しすると、型は元の形に戻ります。つまり、時間が経つと矯正された視力は元に戻ってしまうのです。(寝ている間に視力回復ができてしまうなんて、テクノロジーの進歩は素晴らしいですね。今は歯列矯正も寝ている間にできてしまいます。)
型のつきやすさ、戻りやすさには個人差があります。オルソケラトロジーを始めてどれくらいで効果があるか、そしてその効果はどれくらい持続するかなどは、まさに個人差です。わが子のケースでは翌日から効果が現れました。睡眠時間は10時間程度です。特別な事情がある場合を除き、毎日装着しています。5歳児ですから夜7時30分から8時の間に寝て、朝6時から7時の間に起きています。
効果についてわが子の場合のお話をさせていただきたいと思います。初日から数日は夕方くらいには見え方は弱くなっているようでした。1ヶ月くらい経つと装着しなかった翌日も100%ではないにしてもそれなりに見えているようです。
オルソケラトロジーは英語ではOrthokeratologyと綴ります。略してOrtho-Kとされることもあります。LASIK(レーシック)とは異なり手術をしなくて良いのでリスクが低いという理由でアメリカでは広く支持されています。
CDCをはじめとする機関が近視の子供の数が増加していると警鐘を鳴らしています。子供の近視はどの国でも大きな問題のようです。海外の研究結果によるとオルソケラトロジーは近視抑制効果(近視の進行を遅らせる効果)があると証明されています。但し、視力が正常に戻るというわけではなく、視力を維持するためにはオルソケラトロジーを続けなければなりません。
メリット・デメリット
はじめに簡単に言ってしまうと、オルソケラトロジーは以下のような人にメリットがあります。
- アレルギー等で日中コンタクトレンズを装着できない人
- ドライアイの人
- コンタクトレンズ装着時の違和感に悩まされている人
- スポーツ(特にアウトドアスポーツ)を楽しみたい人
- スキューバーダイビングなどのマリンスポーツを楽しみたい人
- 矯正なしの視力が必要な仕事を目指す人。
- 眼鏡やコンタクトレンズが嫌な人
- レシックは嫌だという人
- 視力がどんどん落ちている人
- 子供が眼鏡のことでいじめられるのを避けたい人
寝ている間に装着するというだけで、実際にはコンタクトレンズですから、無理だという人もいるかと思います。必ずお試しをしてから導入しましょう。人によってですが、目の中に異物(レンズ)が入ったまま眠るのは慣れるまでに時間がかかると思います。
【メリット】
メリットはなんと言っても裸眼で日中の活動時間を過ごせることです。本人も今まで通り、実際には目が良くなるわけですから今まで以上に生活しやすくなるはずです。
わが子の場合、塾にも通っていたので、矯正後は先生が書いている文字が見えると喜んでいました。それまでは見えなかったのに言わなかったの?かなり見えなかったはずなんだけど。。。という感じではあるのですが。
小さい子の場合、幼稚園では予期せぬことが起きたりします。たとえば他の子に叩かれたり、衝突したり、どこかにぶつかったりすることがあります。眼鏡やコンタクトですと破損の危険性があります。眼鏡やコンタクトレンズそのものが壊れるのは仕方がないですが、それによって目に傷がつくのは避けたいところです。
また、小さな子の場合は眼鏡をかけているといじめに遭う可能性があります。小さな子供は思ったことをそのまま言いますから、「眼鏡くん」「眼鏡ちゃん」等のあだ名をつけられてしまうことがあります。親も表立っては口には出しませんが、父兄間で「あのメガネの子ね」のような会話をすることもあるでしょう。
子供だけではなく親の心配も少なくなるという意味では、本人だけではなく、親にもメリットはあると言えます。日本人は人と違うことを恐れる傾向がありますから、自分の子供だけ眼鏡をかけているのは、かなりの精神的ストレスになると考えられます。運動会の写真でもやはりメガネが気になったりするかもしれません。
遠くまで良く見えると喜んでいる子供の笑顔を見たら、オルソケラトロジーのメリットは大きいように思えました。
よーく見えるから、木に止まっているクワガタとかカブトムシも見えるから捕まえに行こう!と喜んでいました。結局、捕まえたのはセミでしたが。オルソケラトロジーによる矯正視力は近視の強さにもよりますが、一般的に1.0~1.2を目安に調整されることが多いようです。
辞めたいときはいつでも辞められるのもメリットです。オルソケラトロジーはコンタクトレンズのようなものですから、装着しなければ元の状態に戻ります。レーシックの場合、元の状態に戻すことはできませんから、オルソケラトロジーは、ある意味では安全ということができます。
オルソケラトロジーには近視の進行を遅らせる効果があります。幼少期の近視は進行が速いため、メリット大だと考えられます。
【デメリット】
デメリットになるか分かりませんが、オルソケラトロジーは視力が永続的に回復するわけではありません。根本的な近視の治療にはなっていないのです。その点でレシックとは大きく異なります。今後、新しい技術が出てくるはずなので、その動向は見守りたいところです。
レンズの脱着作業をする大人のストレスはデメリットになるでしょう。はじめのうちは大人も子供もコツがわからず、矯正器具がうまく入りません。その為、子供が痛いと泣き出したりします。今はもう慣れましたが、個人的にはこれがかなりの精神的負担でした。夜寝る前、朝起きてすぐ、毎日矯正器具を着脱しなければなりません。さらには感染症防止のため、衛生面でも気を付けなければなりません。私は、この管理作業が両者に負担がかかるため最大のデメリットだと思います。
オルソケラトロジーは小さい子供であれば数日から1週間程度で慣れると思います。しかし大人は自分自身のことではないので、ルーティーン化するまでに時間がかかります。最初は子供が目を動かします。目に異物が入るわけですから、それを避けようとするのは当然です。装着も一苦労ですが取り外しもなかなか苦労します。これもかなりのデメリットです。
金銭面でのデメリットはそれほどないように思います。眼鏡に比べると割高ですが、コンタクトレンズと比較するとそれほど大きく変わりません。私の利用しているクリニックでは月1回の検診で約1万円(クリニックにより金額は異なります)の自動引き落としになりますが、月1回検診をして目の異常を発見できるチャンスが増える、安心を買うと思えば無駄ではありません。
他にもデメリットはあります。ハードコンタクトレンズ同様、レンズを目の中に入れるわけですから、角膜に傷がつく、感染症などのリスクはあります。しかしながら、それは使用上の注意を守り、定期的に検診を受けていればそれほど心配するようなことではありません。
デメリットは考え方次第です。メリット>デメリットになれば良いわけですから、皆さんも各自の事情と照らし合わせて導入を考えてみて下さい。
オルソケラトロジー導入
この記事は自分の子どもがオルソケラトロジーをした体験記です。5歳からオルソケラトロジーをはじめ、4年目に入り、5年目にやめてメガネにしました。やめた理由は2つあります。ひとつは時間が無くなったことです。歯科矯正も始め、塾も忙しくなったのでやることを減らそうと考えたところ、オルソは視力が根本的に回復するわけではないのでメガネで良いのではないかということになりました。
もうひとつの理由は感染症が怖かったからです。コロナが蔓延して、眼科検診も感染の恐れがあるので避けたいと思いました。また、親がレンズを入れるのでそこで感染する可能性もあるのでやめることにしました。
さて、それでは導入までのプロセスと感想を述べていきたいと思います。
導入時はまだ5歳でしたから色々と悩みました。幼稚園の定期健診の報告を見たときは、こんなにも早い時期に目を悪くさせてしまい、親としての責任を感じました。両親ともに目が悪かったので、気をつけていたつもりでしたが、o.2という数字はショックでした。
子どもは見えないからと言って、目を細めたりはしません。見えないものは見えないで処理してしまうようで、こちらもなかなか気づかなかったのです。当時、塾の内容をあまり理解していなかったのは、黒板が見えなかったのだと後から気付きました。
子どもの視力検査はしっかりした子でないと難しいと言われているそうなので、もしかしたら間違いかもしれないという淡い期待を抱き、眼医者に向かった結果、その期待は裏切られ、0.2でした。
眼科医からはメガネを勧められましたが、子どもが小さい頃からメガネをかけるのを見たくなかったのと、何とかする方法があるのではないか?これだけ科学が進歩したにもかかわらず、目が悪くなったらメガネという何百年も続く安易な選択肢しかないのかという疑問があったので、保留にして帰宅しました。
はじめは視力回復(目が良くなる方法)を必死で検索しました。しかし決定的なものはなく、効果も確かではなさそうでした。それでも藁にでもすがる気持ちで目の体操や文字が飛び出るタイプ本で視力回復法を3ヶ月ほど試しました。結局、目に見える効果はありませんでした。
今考えてみれば、そんな短期間で効果が出るはずはないのですが、当時は焦っていたので、視力回復はあきらめ、視力矯正を探しました。すると、オルソケラトロジーという視力矯正法があると知りました。そして偶然、近所の眼医者でそれをやっていることがわかりました。
ここから先の情報は、子どもがオルソケラトロジーを導入するにあたり、担当医との対談や渡された資料等からの情報をもとに編纂しました。
子どものオルソケラトロジーの費用・値段(初期費用、導入費用、維持費)
費用については私の子どもが導入したときのものですから、あくまでも目安であり、変動すると考えてください。オルソケラトロジーは保険適用外の自由診療ですから、病院が自由に価格を決めることができます。とは言え、相場というものがありますから、私の子どもにかかった費用は参考になるかと思います。
費用についてはあくまでも過去の時点での費用ということをお忘れなく。オルソケラトロジーが普及すれば価格も下がっていくはずです。コンタクトレンズと比較する場合であっても、価格変動しますから、概算でこれくらいという程度の理解で良いでしょう。参考までに本場アメリカでのオルソケラトロジー導入費用は$800~$1,200ほどかかるようです。
国税庁によれば、オルソケラトロジーは医療費控除の対象になるとのことですので、領収書をもらい、保管して確定申告をしましょう。残念ですが、対象となるのはレンズや検査費用だけでレンズのケア用品は控除の対象とはなりません。基本的にオルソケラトロジーは保険適用外なので自費診療となることを覚えておきましょう。本人確認のためか知りませんが、保険適用外でも病院で保険証を提示させられますので、忘れないようにしてください。
クリニックにより費用は大きく異なりますが、私が実際に払った費用を公開したいと思います。
初期費用・導入費用
適応検査及び装着テスト:10,800円
トライアル預かり金(両眼):64,800円(トライアル期間終了後、治療費として計上)
メンテナンス費用(両眼):10,800円(毎月かかる費用)
合計86,400円
維持費
月額10,000円+消費税
検診費用と装着時に使う目薬の費用込みの価格です。検診の頻度については後述します。目薬は専用のものを無料でもらえます。私の子どもの場合、レンズの着脱を痛がるため、多めに目薬が必要なので、その旨伝えると、目薬を多めに処方してもらえました。料金は変わりません。
他にはレンズの洗浄液等、ケア用品の費用が別途必要となります。
オルソケラトロジーレンズ本体の入ったケースです。(初期費用に含まれる)
洗浄液:1,100円(月に一度購入:眼科でも買えますが、アマゾンでまとめ買いすると安い)
オルソケラトロジーレンズ対応製品ですが、通常のハードコンタクトレンズ用洗浄液でも構わないとのことです。
取り外し用吸盤です。価格:200円くらいです。
レンズの寿命
3年程度で交換するのが良いとされています。基本的には普通のハードコンタクトレンズと同程度の交換周期です。月額費用には保守費用、つまりレンズのレンタル代が含まれています。
限度はありますが、破損したり紛失しても保障してくれます。契約時の補償内容はよく読んでおくべきです。紛失は1回までだったりしますから、その紛失が片目で1回のカウントなのか、両目で1回のカウントなのか、免責金額はあるかなど補償範囲を把握しておきましょう。
私の子どものケースでは近視が進行して度数が変わった場合は、レンズを交換してもらえました。度数が合わなくなり、3回か4回は交換しましたが、追加料金はありませんでした。すべて保障の範囲内です。
現代のテクノロジーの進歩はすさまじいものがあります。何年かすればオルソケラトロジーが普及して単価が下がっている可能性もあります。耐久性が上がる可能性もあります。また、オルソケラトロジーよりも優れた視力矯正法が出てきているかもしれません。あまり先のことを考えても仕方がないので、とりあえず今は3年毎にレンズ交換が必要というくらいの認識で良いと思います。
オルソケラトロジーの適正年齢
大人がオルソケラトロジーを始めるのと、子どもがオルソケラトロジーを始めるのでは大きな違いがあります。子どもは良くも悪くも成長過程にあり、近視が進行しやすいというのがひとつです。また、自分でレンズを装着するのが難しいので、親がケアする必要があるという点です。
適正年齢は、若ければ若い方が良いと言われています。一般的に推奨されているのは小学生からとなっています。理由はいくつかあると思いますが、小学生の方が角膜が柔らかく効果が現れやすい。また、小学校低学年の方が睡眠時間を多くとれるため効果が出やすい。といったところでしょうか。
さらに、自分でレンズの取り扱いができるかどうかを基準とする場合もあります。その場合、やはり小学生からという判断になるでしょう。しかし小学校低学年でもレンズを扱うのはなかなか難しいものです。小学校4年生の姪も同時期にオルソケラトロジーを始めたのですが、親が脱着をしています。
私の子どもは5歳からオルソケラトロジーを始めましたが、親の負担は非常に大きいと感じています。かなりの根気が必要です。冬はどうしても手が荒れます。インフルエンザが流行ればさらに手洗いの回数も増え、手が荒れます。しかし、オルソケラトロジーのレンズを装着するのでハンドクリームを塗ることができません。
夜、レンズを装着してからハンドクリームを塗れば良いのではないかと思われるかもしれませんが、翌朝起きたらすぐにレンズを外しますので、いくら浸透するとは言え、あまり化学物質を手に付けない方が良いかと考えています。神経質になりすぎていると思われるかもしれませんが、やはり直接目に入れる物を触るわけですから、配慮したいところです。
基本的には毎日、着脱するわけですが、自分の体調がすぐれないときなど、どんな時であってもレンズの着脱を行わなければなりません。はじめは子どもが痛がり、レンズをなかなか装着できないことがあります。大泣きする子どもにレンズを装着するのは精神的にもつらいものです。
旅行に行くときも忘れずにキットを持っていく必要があります。荷物が増えるだけでなく、忘れると結構大変な目に遭います。旅先が地方の場合、忘れたものや紛失したものを買って補充することができないことがあります。お店があってもそのようなものは売っていない、もしくはお店そのものがない場合もあります。
また、定期健診にも行かなければなりませんので、お金だけではなく、それなりの労力がかかります。アレルギーなど何らかの理由でレンズが合わないときも眼科に行く必要があります。寝ている間に目をこすって充血してしまうこともあります。この場合も眼科検診が必要です。
眼科によりますが、オルソケラトロジーの場合は、専門の先生がいますので、予約なしで行って診てもらえることは稀です。基本的には予約になりますが、専門の先生の数は少ないため、自分の希望日に予約が取れるか分かりません。仮に予約がとれたとしても、だいぶ先になってしまうこともあります。導入前にこのあたりの状況も把握しておく必要があります。
病院側からすれば、いったん契約を結べば毎月自動的にお金が入ってきます。また、導入費用も高額なので、安易に乗換はしないだろうという目論見もあるかもしれません。契約後は適当な扱いをする医者も無きにしも非ずなので、通っている人に聞いて評判を確認しましょう。
このような事情を考慮してオルソケラトロジーを導入するか決めてください。
導入までの流れ
私の子供のケースでは、学校から検査の書類が来ましたので、それを持参して病院に行きました。裸眼視力は片目で0.1、両目で0.2でした。先生といろいろ相談したところ、あまり期待はできないが、視力を回復する方法があるというので、それを1か月間試してみることにしました。仮性近視で軽いものであれば、それで回復することもあるとのことです。
レンズを覗き込んで遠くを見る訓練です。それで視力が回復しなかったらオルソケラトロジーをしたいと相談の上、決めました。その視力回復法は意外にも効果があり、0.4まで回復しましたが、眼球の形と成長の関係上、それ以上は回復しないという医師の判断でオルソケラトロジーをする運びとなりました。もう少し粘り強く回復訓練をすれば良いとも思うのですが。。。)
以下、一般的な流れをご説明したいと思います。
1.検査及びカウンセリング。検診(自費)各種検査を実施。一般的な眼科健診です。オルソケラトロジーが向いているかどうかを診断します。
↓(1週間後。個人のスケジュール次第)
2.装着テスト。レンズを装着して状態を検査します。同時に、着脱の練習をします。テストレンズをもらいます。
↓(1週間後。個人のスケジュール次第)
3.検査。オルソケラトロジーの効果を確認をします。この時点で満足したら契約をします。
↓
4.定期検査。人によって検診の頻度は異なります。大人であれば通常のコンタクトレンズ同様、3か月に一度の検診で良いでしょう。私の子は小さいこともあり、1か月に1度の検診をしています。
備考
*オルソケラトロジーは保険適用外(すべて自費)です。感染症など目に異常が現れた場合、保険診療になりますので保険証を持参するようにしましょう。
*クリニックによっては体験期間を設けているところがあります。1週間のお試し後、中止か購入か選ぶことができるシステムです。
病院選び、病院紹介
オルソケラトロジーをするにあたり、病院選びは非常に重要です。小さい子供の場合は特にと言えます。子供のことに気を使うと同時に、親を安心させる十分な説明が必要です。十分な説明をしてくれる医師がいることを判断基準にすると良いでしょう。
わが子のケースでは競争の激しい地域にあり、且つ通院が楽なクリニックから選びました。わが子の担当医は論理的な説明をしてくれる笑いのない医者でした。その先生は、わが子が矯正器具を上手に装着した際に「5歳なのによく出来たね」と笑顔で褒めてくれたことは、本人だけでなく、親の励みにもなりました。
導入後の経過(時系列)
初日
初日は上手く装着できず泣きわめきました。病院では上手に装着できたのになぜ?という感じでしたが、その日は諦め、翌日、病院に行くことにしました。装着した後目をぎゅっと力を入れてつぶってしまうのが良くなかったとのことです。その夜、アドバイス通り装着すると上手くいきました。装着時に空気が入ると矯正力が弱くなるそうです。空気により屈折率が変わってしまうので、装着時に空気が入らないように注意しなければなりません。
5日後
オルソケラトロジー導入から5日。子供が夏休みのためいきなり旅行。オルソケラトロジーはなくすと困るので置いていくことにしました。まだ導入したばかりでしたし、自宅から遠い、田舎にあるリゾートホテルに宿泊予定だったので、今回は諦めることにしました。万一どこかに忘れて取りに戻ることになったら大変ですからね。わが子の場合、オルソケラトロジー導入前の視力は0.1くらい、矯正後1.0~1.2、一日付け忘れた場合の視力0.4~0.5くらいです。
1か月後
帰省中に取り外しの吸盤をなくしてしまう事件発生。オルソケラトロジーのレンズの着脱には吸盤を使っています。レンズの取り外しに必ずしも吸盤は必要ではありませんが、我が家ではクリニックで勧められたとおり吸盤を使っています。しかし帰省中にその吸盤がなくなってしまったのです。
不幸なことに装着してしまった後、つまり寝る前になくなっていることに気づいたのです。時間は午後7時40分くらいでした。近くのドラッグストアを探し回り探しましたが、どこにも置いていませんでした。最後に行ったのがマツモトキヨシだったのですが、マツモトキヨシにもないのであればどこに行ってもないと思い、探すのを諦めました。
オルソケラトロジーのレンズはハードコンタクトレンズと類似しているので、ネット上でハードコンタクトレンズの外し方を調べました。Youtubeで外し方をいくつか閲覧して外しました。どの動画も、いとも簡単にレンズを外していました。ほんの数秒でぽろっと外していました。しかし、それらはすべて自分で外すことを前提としたものでした。
翌朝、いざやってみるとかなり時間がかかり、子供がかわいそうでした。繰り返しになりますが、ネット上にあるハードコンタクトレンズの外し方は本人が外す前提ですから、他人が外すのは難しいのです。それでも何とか頑張り、格闘すること20分、ようやくポロリと外れてほっとしました。教訓としては、オルソケラトロジー専用のポーチなどを作ること。また、使用した道具はすぐに片付ける事。実家ではすぐに机の上をきれいにする習慣があり、紙コップに入れておいた吸盤は捨てられてしまったようです。吸盤は200円くらいですから、余分に買っておきましょう。因みにこの吸盤を売っているドラッグストアはほとんどありません。アイシティなど、コンタクト用品を扱っているお店しか取り扱いがないようなので、急には手に入りにくいと思っておいた方が良いでしょう。
休暇から戻ると、子供が突然オルソケラトロジーを拒否。理由を聞いてみると眠いし、気分が乗らないとのこと。毎日するのを習慣化するのが良いのか、気が乗らないときはやめる方針が良いのか悩みましたが、結局、本人がやると言ったので事なきを得ました。これからもこうしたことはあるでしょうが、ある程度方向性を決めておいた方が良いかもしれません。
吸盤なしでオルソケラトロジーのレンズを外す方法1
1.爪を短く切り、手をよく洗う。泡立てることよりも、洗い流すことを重視してください。最低でも20秒間は流水で洗い流してください。
2.レンズが落ちても大丈夫なように下にタオルなどを敷いてください。柔らかくレンズが見つけやすいタオルを敷くようにしてください。
3.目を大きく開け、黒目にレンズが乗っていることを確認。手を下に出して外れたレンズを受け止める準備をする。
4.目じりを指で斜め上方向に吊り上げます。その状態で軽く瞬きするとレンズがぽろっと落ちてきます。(実際はなかなか外れないのですが。。。)
吸盤なしでオルソケラトロジーのレンズを外す方法2
1、2、3は方法1と同じ。
4.目を大きく(レンズの幅よりも大きく)開け、指で上の目蓋の目に近いところを軽く押さえます。
5.下の目蓋も目に近いところを軽く押さえ、上方に動かし、挟み込むようにするとレンズがぽろっと外れます。(こちらも実際はなかなか外れないのですが。。。)
私は基本的に吸盤を使いますが、例の吸盤紛失事件のときは左目で方法1を何度か試しやっと成功。子供に向かい合って作業をするので、自分の利き手で子供の左目の目じりを吊り上げました。左目はなかなか上手く行かず、方法2を試しました。格闘の末、やっと上手く行きました。
経過のまとめ
とにかく大事なことは、何かあればすぐに病院に行くことです。ネットで調べた情報は参考にはなりますが、自分のケースに当てはまるとは限りません。大切なお子さんの目のことですから、何かあればすぐに受診を心がけましょう。また、診察のときには必ずオルソケラトロジーのレンズを持って行きましょう。レンズがないと、目に原因があるのか、レンズに原因があるのか判断できません。それに、レンズに異常がないか定期的に見てもらう方が安心です。
目ヤニがひどい
朝起きると、目ヤニでまつ毛が固まって目が開けられない時期がありました。感染症かもしれないということで眼医者では別の部屋に通されて診察してもらいました。特に異常はなかったのですが、しばらくオルソをお休みにして様子を見ることにしました。1週間後再診に行き、再開の許可が出ました。その時は収まりましたが、目ヤニはたびたび起きる問題ですが、オルソをしばらく休むと解決します。基本的にはレンズは異物なので、このようなことは起こり得ます。
充血がひどい
寝ている間に無意識に目をこすってしまうことがあるようです。朝起きると、充血して目の周りが腫れています。病院に行くと、アレルギーで瞼の裏にぼつぼつができているため、それで違和感があり、こすってしまうのだとか。結局、花粉の多い時期はオルソをお休みしました。
視力が落ちていた
視力の低下はなかなか気付きにくい問題です。食事の時に話をしていて、黒板が見えにくいということが初めてわかりました。オルソケラトロジー導入後は部屋に視力表を貼り、毎日のように視力検査をしていたのですが、安定したあとはしばらく検査はしていませんでした。こどもの場合、導入後は定期的に視力検査をすることが大切だと思います。
レンズがない
レンズを外そうとしたらレンズが見つからず焦ったことがありますが、レンズは目のなかにあります。上下左右どこに入っているかはわかりませんが、落としていなければ必ずあります。目の裏側に入ってしまうようなことはありませんのでご安心ください。無理に手で戻そうとしないでください。目に傷がつくことがあります。どうしても取れにくければ眼科に行ってください。
レンズが割れてしまった
レンズが割れても保障の範囲内で交換してくれます。重要なのは、割れたレンズを捨てないことです。契約によって異なるかもしれませんが、多くの場合、破損したレンズを持って行くと新しいレンズと交換してくれる契約になっているはずです。レンズが割れると焦ります。焦って掃除して捨ててしまう可能性があるので注意してください。
雲って見える
レンズの洗い方が悪い場合に曇って見えることがあります。眼医者に行ったところ、そのように言われました。レンズが割れるといけないので、丁寧に扱っていたのですが、しっかりと洗えていなかったようです。こすり洗いの力加減が難しいと思いました。
レンズを落としてしまう
ハードコンタクトレンズと同じで、落としてしまうとなかなか見つかりません。落としたら動かないを徹底しましょう。落とした場合、見つからないのではなく、踏んでしまう事故の方が多いからです。特に相手は子どもですから、大人とは異なり、すぐに動き回ります。
朝、レンズが外れない
マイティアなどの点眼薬で潤して、ぱちぱちと何度か瞬きしてから外しましょう。乾いた状態で無理に外すと目に傷がつくことがあります。
子どもが嫌がる
何らかの原因でレンズが装着しにくかったり、痛かったり、痒かったりが続くと、本人も嫌になってくるようです。その場合は、無理せず休むようにしています。ずっと続けるわけですから、無理をすると長続きしません。オルソケラトロジーをしないときはメガネと割り切っています。
メガネは度の強さの異なるものを2つ作りました。ひとつはオルソケラトロジーをしない場合に合わせたメガネ。もうひとつは数日間オルソケラトロジーをお休みしたとき用の度の弱いメガネです。そうすれば、トラブルで休止したときでもメガネで過ごすことができます。
まとめ
寝ている間に視力が回復するとして、にわかに脚光を浴びつつあるオルソケラトロジーですが、情報が少なく、広く浸透するにはまだまだ時間がかかりそうです。5歳のわが子のオルソケラトロジーの実体験をもとに執筆しました。おそらく子供でなくても、大人がオルソケラトロジーを導入する際にも同じことがいえるのではないかと思います。皆様の参考になれば幸いです。
視力が大きな問題となるのは、多くの場合、大人ではなく、子供なのではないでしょうか?幼稚園や小学校の健康診断の結果、通知が来て病院に行かざるを得ない。そこで眼鏡かコンタクトかの選択を迫られるわけですが、小さい子供の場合、メガネということになるのが一般的ですが、親としては躊躇するといった具合です。そこに視力回復という選択肢はありません。
ほとんどの病気は治る(回復する)のに、なぜ近視はメガネやコンタクトで矯正して終わりなのでしょうか?私は疑問を抱きました。オルソケラトロジーは知っていましたが、それよりも視力回復トレーニングはないものかと色々な資料を読み漁りました。しかしながら、即効性のあるトレーニング法は少ないため、とりあえずオルソケラトロジーを選ぶことにしました。
まわりにオルソケラトロジーをやっている人がいないこと、子供の年齢が低いこと(5歳)が不安材料でしたが、メガネは嫌だったのでオルソケラトロジーにする以外選択肢はありませんでした。塾に通っていたので矯正しないわけにはいかなかったのです。
幼稚園から通知が来たときは、わが子が小さいだけに、さすがにショックでした。両親ともあまり視力はよくないため、細心の注意を払っていたのですが、思った以上に視力が落ちていたことにかなり落ち込みました。
小さい子供の視力測定はなかなか難しいものです。視力表で検査しようとしても本気なのか悪ふざけしているのか分かりません。見えているのに見えていないと言ったり、逆に見えていないのに見えていると言ったりすることがあります。おそらく小学生くらいになれば判断ができると思います。
目が悪い人は目を細めて見ると思っていましたが、小さい子はそのようなことはしません。見えないなら見えないままです。目を細めると良く見えるようになるということなど知らないのでしょう。大人ではこのようなことはありませんので、導入のハードルはかなり低くなるはずです。
オルソケラトロジーと言うなんだか難しいことをするような感じがしますが、要は、起きている間にコンタクトレンズをするか、寝ている間にコンタクトレンズをするかだけの違いです。寝ている間にコンタクトレンズ(オルソケラトロジーレンズ)を装着すれば起きている間は装着しなくてもよく見えるというだけです。自分でコンタクトレンズを扱える年齢であれば、特別な理由がない限り、オルソケラトロジーを挿入するメリットはあまりなさそうです。しかし子供はこの限りではありません。
オルソケラトロジーは比較的新しく、利用者(特に小さい子供)が少ないため、実際に長く使ってみないと分からないことが多々あるかと思います。こ皆様のお子さんにオルソケラトロジーを導入される場合の参考になれば幸いです。