移住は想像以上に厳しい

老後は物価の安い国で悠々自適に暮らしたいと思っている人も少なくないことでしょう。また、子供の教育のために移住を考える人もたくさんいるようです。しかし現実はそう甘くはありません。現地での生活を満喫している人がいる一方で、帰国する人、現地でホームレスになってしまう人が数多くいるようです。

アジア圏のリタイアメントビザが取りやすいため、移住する人も多いのですが、日本基準で現地で生活を送ろうとすれば日本と同等かそれ以上の費用がかかります。物価が安いというのは庶民が購入するモノやサービスに限ります。それなりの生活をするためにはそれなりのお金が必要です。

例えば子供の教育のために移住し、途上国でインターナショナルスクールに通わせると学費はどれくらいかかると思いますか?最低でも年間100万円はかかります。高いところですと300万円近くかかることもあります。そうであれば、先進国のボーディングスクールの方が選択肢としては良いような気がします。もっとも特定の国でネットワークを構築したいのであれば別ですが。

個人的な感覚からすると、日本の物価は安いように思います。牛丼がいつでも300円程度で食べられるのは奇跡としか言いようがありません。カフェで呪文のような長い名前の飲み物を頼んだら700円くらいします。最近はラーメンでも千円近い値段です。一方で、一食数万円の料理もあります。日本の場合は、安いものから高いものまでバリエーションが豊富で懐具合に合わせて選択できるのが良いところです。

現地の言葉が話せないのであればそれも問題です。現地に住むとなると、観光客ではありません。現地の人と同じ条件で暮らすわけですから、危機管理上も現地の言葉は必要です。言葉が喋れないと結局、孤立してしまったり、よからぬ人たちに騙されたりするのです。

日本の人間関係を煩わしく思って海外へ移住するのであればそれは賢い選択ではありません。なぜなら、ビザが取りやすく物価の安い国には日本人がたくさん住んでおり、日本人社会があります。会社の人間関係が嫌になってホームレスになったら、ホームレスの社会にも上下関係があったという笑えない話もあります。