会社だけでなく国も倒産することがあります。

公務員や大企業勤務であれば安心かと言えば、そのような時代ではなくなってきていると言わざるを得ません。日本では夕張市、アメリカではミシガン州のデトロイト市、米自治領プエルトリコなどの行政機関が破綻しています。シャープやエンロンなどの大企業も倒産しています。

国自体がデフォルトすることは決して珍しいことではありません。アルゼンチンやギリシャのデフォルトは記憶に新しいところです。性懲りもなく何度もデフォルトする国もあります。私はかなり昔に偶然、アルゼンチンデフォルトのニュースを目にしたのですが、非常に衝撃的でした。牛を運ぶトラックが襲われ、あっという間に牛が解体されて肉片(肉塊?)となり、持ち去られてしまったのです。男性が牛の足を担いで持ち帰る姿は今でも鮮明に覚えています。アルゼンチン人が牛肉好きと知ったのはその数年後のお話です。

公務員の場合、財源は税金です。課税強化すれば延命することができます。大企業は政府と蜜月ですから、政府から仕事や輸出戻し税のような実質的な補助金をもらえば延命できます。両者は仮に日本丸が沈没するとしても最後まで生き残ることができます。やはり圧倒的に数の多い中小零細企業のサラリーマンと非正規雇用の層が最もディフォルト耐性が低いと言えます。

アメリカは広いので「アメリカでは」とひとくくりにするのは無理がありますが、便宜上使わせていただくこととして、アメリカでは行政サービスもビジネスだと考えられています。税金の使われ方が適切な地区に富裕層が集まっているそうです。高い税金を払うのであればそれに応じたサービスを受ける権利があると考えているのでしょう。富裕層が集まるから税収も上がり、より良いサービスが提供できます。一方、税金が適切に使われていない地区からは富裕層が次々と出て行っているそうです。このようにして二極化が進みます。行政「サービス」と言うくらいですから、これからの行政には会社を経営するようなビジネスの視点が必要となってくるのではないでしょうか。

最後に、デフォルト(債務不履行)した国をいくつかご紹介しましょう。まずはアルゼンチン。過去8回デフォルトしています。他にドミニカ共和国、エクアドル、ウクライナ、コートジボワールなどがあります。感覚としてはアフリカと中南米に多いような気がします。最近ではカルロスゴーン氏の逃亡先であるレバノンが3月9日に償還期限を迎える外貨建て国債12億ドルの返済見送りを発表しました。デフォルトは国家レベルだけでなく自治体レベルでも起こり得ます。先述のプエルトリコ、デトロイト、夕張市などの自治体もデフォルトしています。

こうしたニュースはセンセーショナルに「デフォルト!」と派手に紙面を飾りますが、私たちにとって大切なのは「その時、その後」です。デフォルトしたらどうなるのか、また、そのあとはどうなったのかを観察する必要があります。いざとなったらどのような行動を取ればいいか、歴史から学ぶ必要があるのです。