うちわ職人

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私の知人の先生で65歳くらいの方がいらっしゃいます。その先生のお父様の職業は「うちわ職人」だったそうです。職人と言っても、骨組みを作るのではなく、うちわの紙の部分だけを糊付けするだけの仕事だったそうです。その先生はその時代には珍しく大学院まで出ていますし、持ち家だったそうです。ことあるごとに「よく家族を養えたなぁ」と呟いていました。(twitterではありません)

当時は、その生産拠点が中国へ移ったり、そのような作業が自動化されるなど夢にも思っていなかったことでしょう。それは今まさに私たちが、直面している問題でもあります。AIに取って換わられる可能性のある「消える職業」については以前お話しした通りです。それと同じことが今、起きているのです。時代を問わず起こり得る問題である為、普遍的な問題と言えます。

AIに置き換えられないような職業を選ぶという発想も大事ですが、人の作業を代替するのはAIだけではありません。また、たとえAIに置き換えることができない職業であっても、需要がなければその職業は成り立ちません。時代を先読みする能力が必要となってくるのです。

電球が発明され、蝋燭の需要は激減しましたが、ゼロになったわけではありません。レストランや法事では今もなお使われていますし、新しい使い方としてはアロマセラピーとして利用されています。うちわもウナギ屋さんや焼き鳥屋さんでは定番ですが、他にも使い方があるはずです。商品を売ろうとするのではなく、使い方を売るという発想の転換が必要なのかもしれません。