スティーブジョブズのスピーチ:Stay Hungry. Stay Foolish.

このスピーチを聞いてインスパイアされる人は少なくないはずです。しかし変な方向にインスパイされて欲しくないと思います。私はマックもウンドウズも使いますが、マック初心者の頃、アップルストアに行ったとき、スティーブジョブズに完全にインスパイアされた外見をした店員に、そんなことも知らないの?的な対応をされてからアップルストアから足が遠のきました。

ジョブズが大学を中退したという話を聞いて、すごい決断力があるなと思ってしまうのは日本ならではの発想です。日本では中退は悪いことである感覚すらあると思います。実際、日本のような硬直的な労働市場では不利益の方が多いかもしれません。しかし、アメリカに行くと、価値観は異なります。

日本では東大、官僚、公費留学でMBAが出世コースで、エリートとされていますが、アメリカで同じようなキャリアを辿っても凡人くらいの感覚でしょう。むしろ、様々な経験がある人間が高く評価されるのです。

日本では良い大学を出て、良い会社に就職することが人生の目標になっています。新卒で就職、定年まで勤めるのが前提で、30代で結婚、40代でマイホーム、子どもは私立一貫校に行かせて、年数回国内外に旅行に行くという、30秒で説明することができる人生を歩みます。(偏見ではありますが)

東大を出ている人は東大以外は大学ではないと思っている人が少なくないと思います。官僚をはじめ、支配層には東大卒がたくさんいます。大企業でも赤門会などのグループがあるくらいです。日本にいる限りはこの東大が一番であるというフレームワークの中で生きて行かなければなりません。

自分が正当に評価されないなど、社会に不満を感じたら、他の場所、他のフレームワークで勝負べきです。植物にたとえるなら、たとえ劣悪な環境であったとしても、与えられた環境で成長する最大限の努力をするか、それとも成長に最適な場所を探してそこで定着してのびのびと成長するか。与えられた場所で咲くか、咲くのに適した場所を探すか、選択しなければなりません。

話を戻すと、アメリカでは中退はさほど珍しいことではありません。もしもまた勉強したくなったら、戻ってくればいい。それくらいの感覚です。もっと言えば、ビジネスで成功して社会貢献すれば学位はもらえます。この動画を見てください。

学力はお金で買えます。勉強ができなくても、一流の家庭教師をつければそれなりにできるようになります。学費の高い大学には、基本的にはお金持ちしか行くことができません。様々な事情で家庭に余裕がなければ、大学に行くよりも就職して家族を支えなければなりません。

日本は一度レールから外れてしまうと、元に戻ることが非常に難しい社会です。ですから、皆が皆、仕事にしがみつき、硬直的になっていきます。また、そうであるからこそ、やめてはいけないと考え、劣悪な労働環境でも我慢して働くため、ブラック企業が生まれ、精神的にも病んでしまうのです。

私は以前、フィリピンで飲食店を経営していましたが、少し怒るとみんなやめていきました。ですからブラック企業はありません。