ハームリダクション

社会には様々な問題があります。解決方法は無数にあるはずですが、日本では規制をすることが主な解決法です。しかし規制をすることで本当に成果があるのでしょうか?薬物事犯についていえば、規制は状況を悪化させるだけで取り締まりはそれほど効果がないことがわかっています。日本でも刑の一部執行猶予制度が導入されています(実際には約束を反故する人が多いので良い制度なのかはわかりませんが)。

なんでもかんでも取り締まるのではなく、逆に許容してしまうという解決法もあります。たとえば歩きスマホが危険であれば、歩きスマホを禁止するのではなく、歩きスマホ専用レーンを作るとかAR技術を安価で普及させるとか、異なった角度から問題解決を図ることも重要です。

コンビニ受診は本当にコンビニで医療サービスを始めるのも良さそうです。コンビニで受診してコンビニで薬を受け取る。現代人のライフスタイルにぴったり合っているのではないかと思います。安易だと非難されそうですが、コンビニ受診は軽症の場合が多いようなので、アメリカのように一定の条件下で看護師に医師と同じような権限を持たせれば解決できそうな気がしなくもありません。

公衆衛生にはハームリダクションという考え方があります。合法違法は不問とし、リスクの大きさが少ない方法を採用する考え方です。その典型がニードルエクスチェンジです。日本では違法薬物は注射器がセットで売られていますので、回し打ちによる感染症の危険性は少ないのですが、海外では注射器の回し打ちによる健康被害が少なくありません。HIVの感染ともなると医療費の増大は避けられません。注射針を配布した方が医療費が削減できるということです。

また、路上に放置された注射針で一般人が針刺し事故に遭う可能性、ごみ収集の際に針刺し事故に遭う可能性もあります。このようなリスクを回避するため、瓶に注射針を入れて持っていくと、同数の新品の注射針を無料でもらえるのがニードルエクスチェンジです。警察や行政は注射針を交換に来た人を逮捕したり記録したりすることはありません。本来であれば明らかに薬物を使用しているはずなので尿検査や家宅捜査で有罪にすることはできるはずですが、そのようなことは一切しないことで、交換を促進して社会的被害を最小限に抑えているのです。今の日本ではここまで寛容になることはできないと思いますが、参考にすべきことでしょう。