リスクが少なく儲かるビジネス

ゴールドラッシュのときに儲けたのは金を掘り当てに来た人ではなく、採掘用の工具や衣類を販売した人たちでした。皮肉なことに、最大のリスクを冒した採掘人はほとんど儲からなかったことでしょう。

毎年、多くのメキシコ人が生命のリスクを冒して、国境を越えてアメリカへ入国を試みています。数日かけて砂漠を越えるのですから亡くなってしまう人も少なくありません。麻薬組織のしのぎとなっているようですが、密入国を手引きするビジネスがあるそうです。非合法であるだけでなく、犯罪組織のビジネスですから非常にリスクの高いビジネスと言えます。実は国境近くの雑貨屋には、密入国セットが売っているそうです。厳密に言うと、密入国には水2リットル、ブーツ、黒のスプレーが必要であるというアドバイスをしながら商品を販売しているそうです。

ビジネスモデルとしてはゴールドラッシュと密入国は同じだと考えられます。ゴールドラッシュの際も、こっちのスコップの方が掘りやすいとか、こっちのジーンズの方が長持ちするとか、アドバイスをしながら販売していたはずです。最大のポイントは儲けようと思っている人から儲けている点です。儲けようと思っている人はある程度の設備投資をしますから、そこに乗っかるわけです。絶対とは言いませんが、犯罪組織の目の付けどころは間違っていません。概ね、堅実な需要があり、利益率が高いものに限定されています。