世界的にキャッシュレスの動きが加速しています。ブロックチェーンを利用したビットコインなどの人気もキャッシュレス化を加速させています。キャッシュレス化すると消費者も販売者も便利になるというのは建前で、為政者は、お金の流れを把握したいという思惑があります。端的に言えば、マネーロンダリングや麻薬取引などの犯罪防止と課税強化が目的です。
違法な取引は現金取引が基本です。麻薬の取引をカードや銀行振り込みにする間抜けはいません。大きな取引では大きなお金が必要です。さすがに現金輸送車で運ぶわけにはいきませんから、できるだけ高額紙幣を使いたいわけです。ユーロの強さは500ユーロという高額紙幣があり、且つ国際的にも信用度が高いことです。ドルの最高額紙幣は100ドルですから、1ユーロ=1ドルの場合、500ユーロを使えばおよそ5分の1の紙幣で済むことになります。犯罪組織が使わないわけがありません。
おそらく国際的な圧力もあってのことだと思いますが、500ユーロは2018年末に発行停止が決まりました。次は200ユーロが狙われそうです。実は日本の1万円札にも同様の議論があり、廃止を検討しているとのニュースがあります。また、アメリカの100ドル札も高額すぎるとの声がありますが、おそらく100ドル札はそのままのような気がします。
アメリカは仕組みを作り、独占することに長けていますから、すでに戦略を持っているはずです。米ドルが様々な場所で使われれば使われるほど信用度は高くなりますし、どんなお金であろうとアメリカにお金が集まることを悪く思わないはずです。
実はさらに高額な紙幣が存在します。それは1,000スイスフランです。2018年1月7日のレートでおよそ11万6千円です。かなり高額ですが、おそらく白羽の矢は立たない気がします。なぜならスイスフランの市場は小さく、多くなお金を動かすと相場自体が動いてしまうからです。さらに、使われている場所は限定されており、スイスを中心にリヒテンシュタイン、イタリアやドイツの一部の地域(非公式)だけで流通しています。
スイスは非常に物価が高いため、1,000フランはある意味では実用的な紙幣と言えます。何年か前に、誰かのブログで「スイスでは4人家族で外食に行くと10万円近くかかる」との記事を読みました。私の同僚の先生でスイスに年2回ほど出かける方がおり、聞いてみたところ、「10万はかからないかなぁ~」と言った後、少し考えて、「いや、やっぱりそれ(10万円)近くかかります」と言っていました。そうであるならば、1,000フランは1万円札とさほど変わらない実用性だと考えられそうです。