AかBかという選択は今に始まったことではありません。かつてビデオがVHSかベータかというシェア争いがありました。性能的にはベータのほうが優れていたように思いますが、VHSが覇権を握りました。アダルトビデオのほとんどがVHSでリリースされたことが隠れた勝因だったと言われています。
上記の例では、ハードの対決のように思えるものが、実はソフトの対決だったことがわかります。Walkmanとipodの覇権争いも、ハードではなく、ソフトが勝敗を決めました。アンドロイドかiPhoneかについても、最終的に勝敗を決めるのはソフト(アプリ)になると考えられます。歴史は繰り返します。
生き残ったハードを持っている人は自分の選択は正しかったと優越感に浸ることができるかもしれませんが、わずかの間にすぎません。ビデオはなくなり、データになりました。音楽再生もほぼスマホに統合されました。せっかく買ったのに、最終的にはなくなってしまうのです。
消費者は常にどちらにするか選択を迫られているように感じてしまいますが、実はどちらも買わないという選択肢があることを忘れてはなりません。企業の視点で考えると、シェアが拮抗していたほうが、メリットがあるかもしれません。どちらも買う人が一定数いるからです。
PCにおいてはWindowsが圧倒的に強いですが、MacもiPhoneの人気に伴い、シェアを伸ばしています。特定の機能は相手の使用端末に依存することがありますから、両方保有している(せざるを得ない)消費者も少なくないはずです。
最近は格安SIMがよく話題にのぼりますが、スマホは持たずガラケー、もしくはガラケーさえも持たないという選択肢もあることを忘れてはなりません。繰り返しになりますが、AとBという選択肢があるとき、どちらも選ぶ、どちらも選ばないという選択肢があることを忘れてはなりません。