成功したければ妥協してはいけないのかもしれません。故スティーブジョブズは技術者がiPhoneのプロトタイプを見せると、即座にもっと薄くならないのかと注文を付けたそうです。技術者がこれ以上小さくするのは無理と答えると、iPhoneをコップに沈め、気泡が出るのを見せて、まだ空気の入る隙間があるじゃないかと詰め寄ったという有名なエピソードがあります。(実話か定かではありません)もしもそこでジョブズが「薄くならないのか、仕方がないな」と妥協していたらiPhoneは妥協の産物になってしまい、ここまで成功しなかったことでしょう。(現在はその人気も若干陰りが見えていますが)
アマゾン創業者のジェフベゾスもその一人です。Echoの開発にあたり、エンジニアがレスポンスタイムを限界まで縮め、満を持してベゾスのもとに持って行くと「もっと短くしろ」と一蹴。エンジニアは苦労の末、現在のレスポンスタイムに持って行ったそうです。やはりここでもベゾスが「こんなもんでいいか」と妥協していたら、今のechoはないわけです。
私たちがイノベーションの恩恵を受けられるのは、悪い言い方をすれば「性格の悪い」、良い言い方をすれば「妥協を許さない」経営者のおかげに他ならないのです。もしも妥協して、エンジニアの意見を鵜呑みにしていたら、中途半端な製品となって、消費者に支持されることはなかったでしょう。彼らが嫌われることを厭わず、一切の妥協をしなかった産物こそが、今、私たちが手にしているテクノロジーなのです。エンジニアを酷使していると言えばそれまでですが、彼らの能力を最大限に引き出したのも「性格の悪い」経営者と考えることもできます。自分が開発した製品が多くの人に支持されるのはエンジニアの醍醐味なのではないでしょうか。少なくとも中途半端な製品を世に送り出して酷評されるより、はるかに精神衛生上良いはずです。
経営者としては周りの目を気にして妥協の産物(言い換えればゴミ)を世に送り出すよりも、性格が悪いと言われようが、一切の妥協を許さないパーフェクトなプロダクトを世に送り出す方が、より多くの人を幸せにできるはずです。とかく社員に気配りのできる経営者がもてはやされる昨今ですが、ご機嫌取りや事なかれ主義の延長のような思えてなりません。ある経営者は「嫌われることも経営者の仕事のひとつ」と公言しています。会社の生き残りを本気で考えるのであれば、社員の幸せを本気で願うのであれば、一切の妥協を許さない「性格の悪い」経営者である方が良いのかもしれません。
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